ビジネスチャンスをスピーディに掴む東レアドバンストフィルム、工場建設とERP構築を並行

速度とコストの優位性を発揮するMicrosoft Dynamics NAV フレキシブルにモジュールを拡大し、一元化効果を実現

2011年半ばに台湾南部サイエンスパークの高雄エリアに工場を新設した東レアドバンストフィルム(中国語名:東麗尖端薄膜公司)は、世界有数の化学素材メーカー東レグループが初めて海外で設立した光学用保護フィルムの生産拠点で、同社がアジアにおけるフィルム加工業を拡大するための橋頭堡でもあります。

特筆すべきなのは、東レアドバンストフィルムがグループ企業の事業計画の中で先駆的な役割を果たしているだけでなく、ITの応用も一目置かれていることです。日系企業東レグループで最初にMicrosoft Dynamics NAVを採用した関連会社であり、この経験をもとに韓国のグループ系列のフィルム生産会社に移植されました。

東レアドバンストフィルムの情報部駱福全副理は、「工場もIT設備もゼロからのスタートで、かつ最短時間で運営を始めなければなりませんでした。導入スピードの短さ、コスト性、国際化サポートの完備と台湾の日系企業での導入実例が、日本の本社がMicrosoft Dynamics NAVの使用を承認してくれたキーポイントとなりました。」と話しました。

工場建設と並行してスピーディに導入、成長の中で確実に拡大

日本東レグループは1926年に創業しました。繊維紡織業から始まり、現在では繊維、炭素繊維、石油化学製品、通信機器、医薬品・医療材料、水環境処理など、幅広い事業を展開するグローバル企業となりました。同社が製造する光学フィルムなどにも使用される表面保護フィルムTORETEC TMは世界シェア世界一で、太陽電池の裏にあるPETフィルムの生産においても非常に高いシェアを有しています。 東レアドバンストフィルムは特許を取得した製品、トレテックを台湾に導入しました。外しても糊残りがまったくないという技術的な利点を持つこの3層構造の光学グレード保護フィルムは、現在七割を中国へ輸出し、三割を台湾の主な顧客である奇美実業とForhouse(輔祥)の2社に供給しています。近場から迅速に顧客のニーズに応じて、万全の顧客サービスを提供するのが、台湾に拠点を設置した理由の一つです。

東レグループ傘下にはすでにソフトウェア会社がありますし、東レアドバンストフィルムの親会社である東レフィルム加工株式会社にも安定して使用されるERPシステムがあります。当初ソリューションを選ぶときに、旧システムをそのまま使うか海外ブランドのシステムにするか選択に迷っていました。しかし、親会社の膨大な旧ERPシステムは工場数が多い場合は良いものの、台湾に工場が一つしかない東レアドバンストフィルムには不向きな点を考慮し、新システムを導入することを決めました。

Microsoft Dynamics NAVは国際化に対する完全なサポートという点で一番に選ばれました。台湾のインターフェースは主に中国語と英語を使いますが、日本人管理者は日本語を使用しています。言語設定を切り替えるだけで、常に同じシステムを使用できます。スピーディな導入及びコストの考慮はまさにMicrosoft Dynamics NAVを採用した重要な要因です。

東レアドバンストフィルムは2012年に購買、会計、営業モジュールの導入を完了しました。2014年3月にはさらに保税モジュールの稼働を果たしました。保税モジュールはもともと他の既存システムを購入してMicrosoft Dynamics NAVに連携して使用するつもりでしたが、最終的にはMicrosoft Dynamics NAVでモジュールを開発して導入を完了しました。この方法でシステムの整合性がより良くなっただけでなく、実際にコスト削減効果もありました。

駱福全副理によると、保税モジュールをMicrosoft Dynamics NAV機能モジュールの拡張にしたことで特に良かった点は、データベースを共有できることです。データがシェアでき、統合が容易になったことで、カスタマイズで連携させる煩雑さと予定外にかかるはずのコストが抑えられました。さらに重要なのは、データ交換の形式の違いがなくなったことです。例えばフィールドの長さの差異によるシステムのフリーズを引き起こす問題などがなくなりました。このため、現在倉庫モジュールと物流メカニズムの統合と拡張も計画しています。

作業効率と正確さを向上、意思決定を支援するレポートの強化

Microsoft Dynamics NAVの完備されたグローバルパートナーのネットワークで、サービスのスムーズさを重視する東レグループは日本のPBCを日本東レグループの情報コンサルタントにしました。またPBCと密接な協力関係にあるK&S Informが台湾での導入、カスタマイズ、メンテナンスを担当しました。K&S Informは日本のPBCと協力して日本本社の業務データを統合し、Microsoft Dynamics NAVへ迅速に移転させ、導入しました。これも東レアドバンストが工場建設しながらシステムデータを構築する際に、その過程がスムーズだった理由の一つです。

駱福全副理はMicrosoft Dynamics NAVのメリットは直感的な操作と開発の容易さだと指摘します。インターフェースの外観はMS Office同様でウェブユーザーインターフェースを支援していて、ユーザーは短期間で苦労せず使いこなせるようになり、しかも他の大型ERPシステムで見られるプロセスデザインの硬直化や、過多な操作制限などの問題がありませんでした。

東レアドバンストはさらにERPシステムを通じて紙ベースの書類承認と電子署名のダブルチェック機制を導入し書類承認の進捗状況の透明化を促しました。これで紙ベース書類の承認催促に制限されることがなくなり、さらには作業もれの発生を避けられます。その他、例えば営業スタッフが外出時にVPNを通じて現在の在庫を調べるなど、たとえユーザーが社外にいてもシステムを使って基本的な事務などを処理できるようになりました。

保税作業を例に見てみましょう。毎月一回帳簿を税関に提出するルーチンワークでは、データを送信した後は修正ができません。しかしExcelで帳簿を作成していた時期は、人為的ミスで提出時間が遅れた上、業務量が多くなってきて手作業でこなしきれなくなりました。保税モジュールを採用してからは、直接システムから営業資料を取得でき、税関業務を三人から二人に減らせる上、正確なデータをもとにした帳簿を時間順守して税関に提出できます。保税モジュールのカスタマイズ開発では、Microsoft Dynamics NAVのカスタマイズの優位性と柔軟性が発揮されただけでなく、K&S Informのコンサルタントチームによるプロフェッショナルな計画で、東レアドバンストフィルムの特性に合ったシステムプロセスの設計をし、さらに同社の各部門のニーズの特性を考慮して、既存システムとの連携を手助けしました。

倉庫物流の作業では、直接物流業者の倉庫とシステムを使うと使用料として取引額の5%を支払わなければいけません。物流と保管の費用を効率よく抑えるには、多くの物流会社と価格の比較をする必要があるため、現段階で自社の倉庫物流モジュール開発が必要です。システムのカバーする範囲が比較的大きく、しかも業務プロセスの改善も含まれていたため、最大限の物流コスト削減と最大化する柔軟なサポートを得られるよう、東レアドバンストフィルムは一年かけてこの機能のモジュールを導入、稼働させることを計画しています。

またレポート機能の強化は東レアドバンストフィルムのもう一つのポイントです。「財務と営業部門は幹部へのレポートの要求が高く、例えばこれを使ってコスト削減プランを策定します。そこで私たちはシステムに付随するJet Reportsツールで、レポート機能を開発しようと考えています。これもまたMicrosoft Dynamics NAVが完璧なリソースとツールで私たちの成長と変化に応じたニーズをサポートできるという証明でしょう。」駱福全副理はこのように話しています。

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